喪主と相続人・祭祀承継者の関係|喪主が多く相続するの?

喪主と相続人・祭祀承継者の関係を解説する記事のアイキャッチ

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喪主を務めることになり、『喪主になったら相続でも何か変わるの?』と気になっている方も多いはずです。親族から「喪主なんだから」と言われて、とまどっている方もいるかもしれません。

結論から言うと、喪主と相続人は別の立場です。喪主を務めたからといって、相続の取り分が増えたり減ったりすることはありません。

この記事を読めば、喪主・相続人・祭祀承継者(お墓や仏壇を受け継ぐ人)の違いと、葬儀費用との関係が分かります。

目次

喪主と相続人は別の立場です

先に結論

喪主は葬儀で遺族を代表する人、相続人は故人の財産を受け継ぐ人です。決まり方も役割も違うので、喪主かどうかで相続の取り分は変わりません。

喪主は、慣習と家族の話し合いで決まる「葬儀の代表」です。喪主という立場そのものを定めた法律はありません。

一方、相続人は民法で決まっています。誰がどれだけ受け継ぐかは、民法の決まり、遺言、相続人どうしの遺産分割の話し合いで決まります。

『喪主をやったんだから、少しは多くもらえるのでは?』と考える方もいますよね。実は、喪主であることを理由に相続分が増える、という決まりは民法にないんです。

逆に、喪主になったから財産の取り分を減らされる、ということもありません。喪主は葬儀の役割、相続は財産の話、と分けて考えてみてください。

もし親族から「喪主だから多めに」と言われても、それは法律の決まりではありません。気持ちとして受け取りつつ、分け方は相続人みんなで話し合って決めれば大丈夫です。

喪主と相続人が同じ人になることは多い

実際には、配偶者や長男など、相続人でもある家族が喪主を務めることがよくあります。同じ人が両方の立場を持つことはあっても、2つの立場は別のものです。

喪主という立場そのものは、喪主とは?意味と役割で紹介しています。

喪主と相続人が別の人になる場面

喪主と相続人が別の人になることもあります。例えば、配偶者が喪主を務め、子どもたちと一緒に相続人になる場合です。

例えばこんな会話になることがあります。

「喪主はお母さんにお願いしたけど、相続の手続きは私たち子どもも一緒に進めようね」
「そうね。私ひとりで決めることじゃないものね」

このように、喪主と相続人の役割を分けて話しておくと、あとで気持ちのすれ違いが起きにくくなります。

故人の兄弟姉妹やその子が喪主を務めることもあります。この時、喪主が相続人に当たるかどうかは、ほかの家族がいるかどうかで変わります。

相続人の範囲や相続分の決まりは、家族の形によって複雑になることがあります。迷ったら、法務省や裁判所の案内を見たり、専門家に確かめたりしてみてください。

喪主が遺産の分け方を決めるわけではない

喪主は葬儀の代表ですが、遺産の分け方を一人で決める立場ではありません。遺言がない時、遺産の分け方は相続人どうしの話し合いで決まります。

『喪主なんだから、相続の話もまとめてほしい』と親族から頼まれることもありますよね。まとめ役を引き受けるのはかまいませんが、決めるのはあくまで相続人みんなです。

喪主が相続の場で心がけたいこと
  • 葬儀費用の領収書や立て替えのメモを全員に見せられるようにする
  • 香典をどう使ったかを記録しておく
  • 遺産の話は、葬儀が落ち着いてから全員がそろう場で始める
  • 分からないことは専門家や公的な窓口に確かめる

お金の流れが見えるようにしておけば、喪主が疑われるような行き違いも起きにくくなります。

喪主・相続人・祭祀承継者の違いを比べると

この章の要点

葬儀のあとに出てくる立場は、喪主(葬儀の代表)、相続人(財産)、祭祀承継者(お墓や仏壇)の3つです。それぞれ根拠と決まり方が違います。

喪主、相続人、祭祀承継者。似たような場面で出てくるので、ごちゃごちゃになりますよね。そこで、この記事では3つの立場を、根拠となる決まりと一緒に並べてみました。

喪主・相続人・祭祀承継者の3つの立場を、受け継ぐもの・根拠・決まり方で比べた図解
比べる点喪主相続人祭祀承継者
ひと言でいうと葬儀で遺族を代表する人故人の財産を受け継ぐ人お墓や仏壇を受け継ぐ人
受け持つもの葬儀の方針・弔問・挨拶預貯金や不動産などの財産家系図・仏壇や位牌・お墓
根拠法律の定めはなく慣習民法の決まり民法897条
決まり方家族の話し合い民法の決まり・遺言・遺産分割の話し合い故人の指定、なければ慣習、それも分からなければ家庭裁判所
人数一人が多いが決まりはない家族の形による一人が受け継ぐことが多い
喪主との関係本人喪主かどうかで取り分は変わらない喪主が兼ねることも多いが別のもの

この表で一番大事なのは、3つの立場は「たまたま同じ人が兼ねることが多い」だけ、という点です。法律で同じ人にすると決まっているわけではありません。

よくある組み合わせ

家族の形によって、3つの立場の組み合わせはさまざまです。よくある例を挙げてみます。

家族の例喪主相続人祭祀承継者
父が亡くなり、母と子がいる母母と子長男など、家で決めた人
母が亡くなり、父はすでにいない長男や長女子どもたち喪主を務めた子が多い
配偶者も子もいない兄弟姉妹など家族の形による家で決めた人

例えば、父が亡くなって母が喪主を務め、お墓は長男が受け継ぐ、という形もあります。それぞれの立場を別の人が持つことは、決しておかしなことではないんです。

死亡届を出す人も、喪主とは別

もう一つ、喪主と混同されやすいのが死亡届を出す人です。戸籍法では、死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内に出すことになっていて、届け出る順番は同居の親族、その他の同居者、家主や地主などと定められています。

実際には、葬儀社が提出を代行してくれることが多いです。死亡届を出したかどうかで、相続の立場が変わることもありません。

死亡届が受理されると、火葬の許可も出ます。法律では、火葬は亡くなってから24時間を過ぎないと行えないと決まっていて、日程は葬儀社が火葬場と調整してくれます。

祭祀承継者とは?お墓や仏壇を受け継ぐ人の決まり方

この章の要点

祭祀承継者は、家系図や仏壇、お墓などを受け継ぎ、先祖の供養を中心になって行う人です。民法897条で、故人の指定、慣習、家庭裁判所の順に決まり方が定められています。

祭祀承継者は、祭祀継承者と書かれることもあります。読み方は「さいししょうけいしゃ」です。

民法897条は、系譜、祭具、墳墓の所有権は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が受け継ぐと定めています。ただし、故人が指定した人がいれば、その人が受け継ぎます。

条文の言葉身近な言い方
系譜家系図など
祭具仏壇や位牌など
墳墓お墓

慣習が明らかでない時は、家庭裁判所が受け継ぐ人を決めると、同じ条文の2項に書かれています。

祭祀承継者が決まる順番
  1. 故人が指定した人がいれば、その人が受け継ぐ
  2. 指定がなければ、慣習に従って決まる
  3. 慣習が明らかでなければ、家庭裁判所が決める

条文には「前条の規定にかかわらず」とあり、預貯金などの財産の相続とは別の扱いになっています。お墓や仏壇は、相続人どうしで分ける財産とは考え方が違うんです。

喪主と祭祀承継者は同じ人?

『喪主を務めたら、お墓も自分が継ぐことになるの?』という疑問はよく聞かれます。実際には、喪主がそのまま祭祀承継者になることは多いです。

葬儀の喪主が、その後の法事を主催する施主になり、お墓や仏壇も守っていく。この流れは自然なので、同じ人が兼ねやすいんですね。

ただ、法律で同じ人と決まっているわけではありません。例えば、高齢の配偶者が喪主を務め、お墓は子が受け継ぐ、という形もあります。

祭祀継承者と喪主を別の人にする時は、法事の案内を誰の名前で出すか、お寺とのやりとりを誰がするかを決めておくと、あとで迷わずにすみます。

祭祀承継者が受け持つこと

祭祀承継者は、お墓や仏壇を受け継ぐだけでなく、その後の供養の中心にもなります。法事を主催したり、お墓の管理をお寺や霊園と相談したりするのが一般的です。

受け持つことの例ひとこと
仏壇や位牌を守る自宅に置くことが多い
お墓の管理お寺や霊園とのやりとりの窓口になる
法事の主催四十九日や一周忌などで施主を務めることが多い
親族への連絡法事の案内などを出す

法事でいう施主とは、法事を主催する責任者のことです。喪主を務めた人が、そのまま施主や祭祀承継者になる流れがよく見られます。

法事の施主や、四十九日以降の供養の進め方は法事の喪主は誰?で紹介しています。

話し合いがまとまらない時は

お墓を誰が受け継ぐかで家族の意見が合わない時は、無理に葬儀の場で決めなくても大丈夫です。慣習が分からず話し合いでも決まらない時は家庭裁判所が決める、という仕組みがあることだけ覚えておきましょう。具体的な手続きは、弁護士などの専門家に相談してみてください。

喪主が立て替えた葬儀費用と相続の関係

この章の要点

葬儀費用を誰が払うかは、法律で「喪主」と決まっているわけではありません。相続税の計算では、葬儀費用を遺産から差し引ける場合があるので、喪主が立て替えた分も領収書を残しておきましょう。

『喪主だから、葬儀費用は全部自分が払わないといけない?』と不安になりますよね。実は、喪主が費用を払う義務がある、という決まりはないんです。

実際には、故人の遺産から払ったり、相続人で分けたり、喪主がいったん立て替えたりと、家ごとにさまざまです。誰が負担するかは、喪主や相続人の話し合いで決まります。

費用の分け方の考え方は喪主と葬儀費用|誰が払う?でくわしく紹介しています。

相続税では、葬儀費用を差し引ける場合がある

国税庁のタックスアンサー(No.4129)は、相続税を計算する時、一定の相続人などが負担した葬式費用を遺産の総額から差し引けると説明しています。

相続税の計算で葬式費用に含まれるものと含まれないものを2つに分けた図解
葬式費用に含まれるもの葬式費用に含まれないもの
火葬や埋葬、納骨にかかった費用香典返しの費用
遺体や遺骨を運ぶのにかかった費用墓石や墓地を買う費用
お通夜など、葬式の前後にかかる通常欠かせない費用初七日など法事のための費用
お寺などへの読経料などのお礼墓地を借りる費用も含まれない

全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)も、宗教者への謝礼も葬儀費用として相続税の控除の対象になるので、領収書はまとめて保管するよう勧めています。

税額や控除の具体的な計算は、家ごとに違います。迷ったら税務署や税理士に確かめてみてください。

喪主が残しておきたいもの
  • 葬儀社の見積書と請求書、領収書
  • お寺へのお礼の控え(日付と渡した相手のメモ)
  • 火葬や納骨にかかった費用の領収書
  • 立て替えた分のメモ(誰がいつ何に払ったか)
  • 香典帳(香典を誰からいただいたかの記録)

精進落としや通夜振る舞いの費用は?

精進落とし(葬儀のあとにお世話になった方をねぎらう会食)や、通夜振る舞いの飲食費が差し引けるのか、気になる方も多いですよね。

国税庁のNo.4129には、お通夜などにかかった費用が葬式費用に当たると書かれています。ただ、「精進落とし」「通夜振る舞い」という言葉そのものは、国税庁の案内や通達には出てきません。

どこまで含められるかは、税務署や税理士に領収書を見せて確かめるのが確実です。飲食の領収書も、ほかの葬儀費用と一緒に保管しておきましょう。

故人の預金から葬儀費用を払いたい時

故人の口座は、亡くなったあと自由に引き出せなくなることがあります。民法909条の2には、遺産を分ける前でも、相続人が一定の額を引き出せる仮払いの仕組みがあります。

引き出せる額や手続きは、口座のある金融機関で確かめてみてください。手元のお金で足りない時の選択肢として知っておくと安心です。

見積りの段階で、家族と費用の見通しを共有する

あとで費用の話がこじれないためには、見積りの段階で家族に見通しを共有しておくのが一番です。見積書を取って、誰がどの部分を負担するかを話しておきましょう。

「見積りがこれくらいになりそうだから、お母さんの口座から払う分と、私たちで分ける分を決めておこうか」

こんなふうに、早めに話題に出すと、相続の話し合いのときにも揉めにくくなります。

費用の分かりやすい見積りを出してくれる葬儀社に、早めに相談しておくと慌てずにすみます。資料で費用の内訳を比べておくのも一つの方法です。

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葬儀が終わったら、手元の書類を一か所に

葬儀が終わると、喪主の手元には書類やお金に関わるものがたくさん集まります。相続の話し合いに備えて、早めに一か所にまとめておくと安心です。

時期まとめておくもの
精進落としのあと世話役から引き継いだ香典・香典帳・領収書
請求書が届いたら葬儀社の見積書・請求書・領収書
お寺へお礼をしたら渡した日と相手のメモ
四十九日ごろ香典返しの記録(相続税の葬式費用には入らない)

香典は、全互協の説明では喪主あてにいただくものです。葬儀費用に充てるのか、どう扱うのかは、家族で決めて記録を残しておきましょう。

喪主と相続でよくある相談

この章の要点

喪主と相続については、「葬儀代は誰が出すのか」「喪主がお墓を継ぐのか」「相続税で葬儀費用はどう扱うのか」という相談がよく見られます。

相談1:葬儀代は、亡くなった本人と相続人のどちらが出すもの?

葬儀代を故人のお金から出すのか、相続人が出すのか分からない、という相談です。

葬儀代を誰が出すかは、法律で決まっていません。故人の遺産から払うことも、相続人で分けることも、喪主が立て替えることもあります。

大切なのは、誰がいくら出したかを記録に残すことです。あとで遺産を分ける時に、立て替えた分をどう扱うか話し合いやすくなります。

「立て替えた分は、遺産を分ける時に先に精算させてね」と、葬儀の前後で一言伝えておくだけでも、あとの話し合いがずっと楽になります。

相談2:喪主を務めた人が、お墓も受け継ぐことになるの?

喪主を務めた家族が、そのままお墓の名義や管理も受け持つのか、という相談です。

民法897条では、お墓や仏壇を受け継ぐ人は、故人の指定、慣習、家庭裁判所の順で決まります。喪主だから自動的にお墓を継ぐ、というわけではありません。

ただ、実際には喪主がそのまま受け継ぐ家が多いです。家族で話して、誰が守っていくのがよいか決めてみてください。

お墓のある場所から遠くに住んでいる、仕事でなかなか法事に出られない、といった事情があれば、それも含めて話し合うと現実的な答えが出やすくなります。

相談3:相続税の申告で、葬儀費用はどこまで差し引ける?

相続税の申告を考えていて、葬儀費用の扱いが分からず混乱している、という相談もあります。

国税庁の案内では、火葬や納骨、お通夜、お寺へのお礼などは差し引ける費用に入ります。一方で、香典返し、墓石や墓地の費用、初七日などの法事の費用は入りません。

細かい判断は家ごとに違うので、領収書を一式そろえて税務署や税理士に相談するのが近道です。

全互協も、宗教者への謝礼は葬儀費用として控除の対象になると説明しています。お寺へのお礼は領収書が出ないこともあるので、渡した日と相手をメモに残しておくと役に立ちます。

相談答えの要点
葬儀代は誰が出す?法律で決まりはない。記録を残す
喪主がお墓を継ぐ?自動ではない。故人の指定・慣習・家庭裁判所の順
相続税の葬儀費用は?火葬やお寺へのお礼などは入る。香典返しや法事は入らない

よくある質問

喪主になると相続人として有利になりますか?

なりません。相続の取り分は民法の決まり、遺言、遺産分割の話し合いで決まり、喪主かどうかは関係しません。

相続人でない人が喪主を務めてもいいですか?

はい。喪主は法律上の役職ではないので、相続人でない家族や親族が務めることもあります。

祭祀継承者と喪主は同じ人でないといけませんか?

いいえ。同じ人が兼ねることは多いですが、法律で同じ人と決まってはいません。

離婚した親の葬儀で、子は相続人になりますか?

親が離婚しても親子の関係は続くので、子は相続人になります。離婚した元の配偶者は相続人ではありません。くわしくは離婚した親の葬儀の喪主で紹介しています。

喪主が立て替えた葬儀費用は返してもらえますか?

法律で決まった返し方はありません。遺産から払うか、相続人で分けるかを話し合って決めます。領収書を残しておくと話し合いやすくなります。

まとめ

この記事の要点
  • 喪主(葬儀の代表)と相続人(財産を受け継ぐ人)は別の立場
  • 喪主かどうかで、相続の取り分は変わらない
  • お墓や仏壇は祭祀承継者が受け継ぎ、故人の指定・慣習・家庭裁判所の順で決まる
  • 葬儀費用を喪主が払う義務はなく、家族の話し合いで決める
  • 相続税では葬儀費用を差し引ける場合があるので、領収書を残す

喪主を務めながら相続のことまで考えるのは大変ですよね。まずは葬儀を終えることを優先して、お金やお墓の話は落ち着いてから家族で話し合ってみてください。

喪主ドットコム

喪主ドットコム 編集部

喪主の意味や決め方、葬儀の流れと当日の役割、挨拶やお礼、費用と公的な給付、法事の施主の準備までを、急に喪主を務めることになった方にも分かるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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